なにかとせわしい年末年始を過ごし、新年会も終わってホッとしたのも束の間、え?今度は送別会?!
ご馳走を食べたり、美味しいお酒を飲んだりと楽しい事ばかりではなく、お付き合いや環境の変化など、気づかないうちに胃腸はストレスを抱えているかもしれません。
そんな、働きすぎの胃腸に、少し休息を与えてみてはいかがですか。
実は、ふだん食べている野菜には、胃腸をいたわるうれしい効能を持ち合わせているものもあるんです。
そこで今回は、胃腸をいたわる身近な旬の野菜と、胃腸の疲れを癒やすやさしい食事をご紹介します。
目次
胃腸にやさしい食事とは?
胃腸の疲れを癒やすやさしい食事とは、いったいどのようなものでしょうか。
簡単に説明すると、次の3つの条件を満たした食事となります。
- 消化が早い食事
- 刺激しない食事
- 熱すぎず、冷たすぎない食事
なんとなく、わかる気がしますよね。
「なんだか胃が重い」「食欲がない」などと感じる胃もたれは、胃の活動が滞っているサインです。
その原因としては、暴飲暴食の他、加齢やストレス、喫煙など、さまざまな要因が考えられます。
胃の働きには、運ばれてきた食物を貯蔵する働きや、小腸で吸収されやすいように消化・分解する働きがあります。
何らかの原因で胃の動きが乱れると、食べた物が長時間胃に停滞してしまい、消化が追いつかなくなります。
消化が十分にされていない状況で、次から次に食べ物が運ばれてきたらどうでしょう。
出典:第一三共ヘルスケア「胃もたれの原因」くすりと健康の情報局
胃は、オーバーワークで悲鳴を上げ、私たちに胃もたれや胃痛などのサインを送ってきます。
そのサインを見逃さず、働きすぎの胃腸をやさしい食事でいたわってあげましょう。
次に、3つの条件について、もう少し詳しくお話ししていきます。
消化が早い食事
先ほど、胃の働きの1つに、運ばれてきた食物を貯蔵する働きがある事をお伝えしましたが、食べ物によって、胃の中の停滞時間が異なります。
消化されるまでにかかる時間は、早いものでは2時間程度、遅いものでは5時間以上、中には12時間もかかるものもあります。
出典:東京山手メディカルセンター栄養管理室「給食だより第33号」
栄養素によっても異なり、消化が早い順に並べると、以下の順番になります。
- ご飯や麺類などの糖質
- 魚や肉・卵などのたんぱく質
- 油や脂などの脂質
揚げ物など脂質の高いものは、胃に滞在する時間が長いというわけです。
また、食物繊維は消化・吸収されないので、胃腸の調子が優れない時は、避けるか、繊維を断ち切るように調理をすることをおすすめします。
そのほか、調理方法による消化速度にも違いがあり、煮込んで柔らかくした料理は消化速度が早く、反対に焼く・揚げるといった調理は消化に時間がかかるので避けた方が良いでしょう。
このように、食べ物には消化が早い食事と遅い食事があります。
胃腸に疲れを感じている時は、消化が早い食事を心掛け、胃に負担を掛けないことが大切です。
刺激しない食事
胃もたれの原因には、消化不良の他、胃酸の影響によるものもありましたね。
胃酸を活発に分泌するような酢や柑橘類は、刺激が強く胃に負担がかかります。
また、アルコールや香辛料、コーヒーなどに含まれるカフェインも胃に刺激を与え、胃の粘膜を荒らす原因となりますので控えるようにしましょう。
極端に辛いものや甘いもの、味の濃いもの、酸味や渋味の強いものなどを避け、薄味でホッとする食事を摂ることをおすすめします。
冷たすぎない・熱すぎない食事
極端に冷たいもの・熱いものを食べることは、胃を荒らす原因になります。
冷たすぎるものや熱すぎるものは、胃に刺激を与えてしまいますので、先程の「刺激しない食事」と同様に、ホッとできる食事で胃腸をいたわりましょう。
胃腸の疲れにおすすめの旬野菜
普段食べている野菜の中には、消化を助ける・胃腸の調子を整える・胃の働きを促進させるなど、疲れた胃腸の回復に役立つ成分を持ち合わせているものがたくさんあります。
さらに、旬の野菜にはビタミンやミネラルなどの栄養素が通常より多く含まれているものもありますので、食欲がない時でも、少しでも摂れると良いですね。
それでは、胃腸の疲れにおすすめの旬の野菜をご紹介します。
消化酵素で消化を促す「大根」「かぶ」
大根やかぶの根の部分には、消化酵素のジアスターゼが多く含まれています。
ジアスターゼは別名アミラーゼとも言われ、消化不良の解消や、胃もたれを防止する働きがあることから胃腸薬にも配合されているため、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
そんな、胃腸が弱っている時に摂り入れたいジアスターゼですが、熱に弱いという弱点があります。
野菜に含まれるジアスターゼの働きを期待するなら、生で食べることをおすすめします。
通年出回っていて品種も多い大根ですが、1番多く出回っている「青首大根」は、11月から2月頃に旬を迎えます。
この時期の大根は、みずみずしく甘みが増しているのが特徴で、大根おろしやサラダなど、ジアスターゼを有効的に摂取できる生食にぴったりです!
かぶもまた通年流通されている野菜ですが、寒さが増す冬の時期は、肉質が柔らかく甘みがあるので、大根同様に生でも十分に味わえます。
傷ついた胃や腸の粘膜を修復する「キャベツ」
キャベツには、胃腸の粘膜を正常に整える効果や、消化を助けて胃もたれを防止する効果が期待される、ビタミンU、別名キャベジンが含まれています。
ビタミンUはジアスターゼ同様、胃腸薬に配合される事の多い成分の1つですが、ビタミンUよりキャベジンの方が、聞き慣れている人が多いかもしれませんね。
キャベジンは抗潰瘍性ビタミンという異名を持ち、胃潰瘍の予防・改善にも効果が期待されています。
また、キャベツには、抗ストレスビタミンとも言われているビタミンCも多く含まれています。
ストレスは自律神経のバランスが乱れ、胃腸の働きに問題を起こす原因にもなりますので、キャベジンとビタミンCを一緒に摂れるキャベツは、まさに胃腸疲れの救世主ですね。
その上うれしい事に、ビタミンCの含有量は2月にピークを迎えます。
出典:出回り期が長い食用植物のビタミンおよびミネラル含有量の通年成分変化[1]
キャベツは、この時期に積極的に摂取したい野菜の1つですね!
ただ、キャベジンとビタミンCはどちらも熱に弱く水溶性の成分となりますので、加熱をする場合は短時間で、煮込む場合は栄養素が溶け込んだ煮汁ごと摂取できるスープなどの料理がおすすめです。
独特の香りが胃の働きを活性化させる「春菊」
春菊の独特の香りを生み出しているのは、αピネン・ペリルアルデヒドなどの香り成分です。
これらの成分は、自律神経に作用して胃腸の働きを促進し、消化吸収を良くする効果が期待されています。
春菊の旬は11月から2月。
そう、名前に「春」は付くけど旬は「春」ではないんですね。
ちなみに「春菊」と呼ぶのは主に関東で、関西では「菊菜」と呼ばれる事が多いそうです。
旬の時期の春菊は、葉も茎も柔らかく、生のままサラダなどで食べると、芳醇な香りも楽しめます。
反対に、加熱のし過ぎは食感や香りを失うだけではなく、苦味が出てしまいますので注意しましょう。
疲れた胃腸にやさしいレシピ
それでは、旬の野菜を使った胃腸にやさしいレシピをいくつかご紹介します。
今回ご紹介するのは、普段の食事に胃腸をいたわる旬の野菜をプラスしただけの簡単レシピです。
大根おろしと生姜の優しいうどん
大根おろしをたっぷり乗せて、消化に優しいお助けうどんに!
さらに、生姜の香りが食欲を促し、心も体も温まりまる一品です。
高野豆腐にフワフワのかぶをプラス
高野豆腐の甘い出汁と、かぶのフワフワとした食感・ほんのり辛いまろやかな甘みがベストマッチ。
疲れた胃腸にやさしく染みわたります。
キャベツが飲みやすくなるスムージー
りんごのフルーティーな香りと甘味が、キャベツの青臭さを打ち消し、飲みやすい健康ドリンクに変身!
豆乳を加えることで、まろやかなコクと満腹感がプラスされます。
春菊の香りがたまらないとろろごはん
ながいもには消化酵素のアミラーゼが含まれているので消化を助ける働きがあります。
春菊と合わせる事で香り豊かなとろろに仕上がります。
まとめ
美味しいものをたくさん食べられることは、とても幸せなことですよね。
でも、ついつい食べ過ぎてしまった時や、食欲がないなと感じた時は、旬の野菜を使ったやさしい食事で、疲れた胃腸をいたわってみてはいかがでしょうか。
旬の野菜は栄養価が高いことはさることながら、美味しさもパワーアップしていますので、積極的に摂り入れることをおすすめします。
少し余談ですが、実はわたし、そんなに春菊が好きではなかったんです。
それがある時、畑に面した直売所で旬の時期に買った春菊が柔らかくて、みずみずしくて、美味しくて!
苦手だった香りも好きになるほどに、感動したことを覚えています。
胃腸に疲れを感じた時は、旬の野菜を使ったやさしい食事で、心も体も癒してください。