この、ブロッコリーのような、カリフラワーのような、不思議な野菜。。。
最近、目にすることが増えてきたのではないでしょうか?
見れば見るほど、異次元に吸い込まれてしまいそうなルックス。
芸術的だけど、ちょっと気持ち悪い?!良くも悪くも、きっと誰もが振り返るこの野菜がロマネスコです。
しかし、見たことはあっても、実際に食べたことや、ましてや調理したことのある人は少ないかもしれません。
ところが、このロマネスコは下ごしらえも簡単で、そのうえ色んな料理に使えて美味しく食べられるので、見て満足しているだけではもったいないです!
今回は、食卓を華やかにしてくれるロマネスコの魅力と、失敗しない食べ方をご紹介します。
目次
ロマネスコはこんな野菜
ロマネスコの原産地はヨーロッパで、ブロッコリーやカリフラワーと同じ、アブラナ科の野菜です。
主に、未成熟の花蕾(からい:花とつぼみの部分)と花梗(かこう:花を支える茎の部分)を食べます。
旬の時期は11月から4月。
その形からも、クリスマスシーズンに需要が高まるとも言われています。
ロマネスコの外観の特徴は、なんと言っても花蕾の幾何学的な配置。
ひとつひとつの花蕾が螺旋状に連なり、円すい形になっています。
そして、小さな円すいがいくつも繰り返され、大きな円すい形を作り上げています。
これを「フラクタル構造(=自己相似)」といい、ロマネスコはフラクタル構造を持つ野菜の代表です。
ちなみに、ブロッコリーやカリフラワーもフラクタル構造なんですよ。
そんな外観からも、興味をそそられるロマネスコ。ただ、その歴史は明らかになっていません。
英名はRomanesco Broccoli (ロマネスコ・ブロッコリー)
「ブロッコリーとカリフラワーを掛け合わせて作られた野菜」と言われる一方で、「ロマネスコが起源で、ブロッコリーやカリフラワーができた」という説もあり、その誕生は未だ謎に包まれています。
諸説ありますが、分類としてはカリフラワーの一種です。
ロマネスコの味は?
ロマネスコは、甘みがあり、癖が無いので食べやすく、サラダや野菜炒めなどの具材としてはもちろん、スープや揚げ物、スイーツまでさまざまな料理に利用できます。
食感はコリコリしていて、花蕾の部分はホクホク感も楽しめます。
ロマネスコの栄養価は?
ロマネスコには、ビタミンCが多く含まれています。100gあたりの含有量が60g。。。と、言われてもピンと来ませんよね?!比較してみたらどうでしょう!
ロマネスコ | レモン果汁 | いちご | |
---|---|---|---|
ビタミンC(mg/100g) | 60 | 50 | 62 |
※上記レモン果汁、いちごの含有量は日本食品標準成分表2015年版(七訂)より、ロマネスコは日本食品標準成分表2015年版(七訂)未掲載のため、Wikipediaの情報を参考に100gに換算した数字です。
レモン果汁より多く、いちごと同じくらい!
たとえば、1日あたりの推奨量である100mgのビタミンCを摂取するには、いちごであれば10個ほど、レモン果汁でしたら200gを飲めば良い計算です。
とはいえ、レモン果汁を200g飲むなんて、想像しただけで唾液が出ちゃいますよね。
それに比べてロマネスコはいろいろな料理に使えるので摂取しやすいというわけです。
しかも、ロマネスコのビタミンCは、加熱による損失が少なく、その含有量は野菜の中では上位に位置しています。
ビタミンCは、コラーゲンの生成や保持、免疫力を高める働きがあり、美容や風邪予防などの効果が期待できます。
また、抗酸化作用を持つビタミンでもあり、活性酸素(老化や生活習慣病などを引き起こす原因となる、細胞を酸化させる力が強い物質)を抑える働きがあります。
体内で不要なビタミンCは、尿として排出されますので、過剰摂取による心配はありません。
その他、食物繊維やカリウムなども含まれており、美容や健康のために、積極的に摂り入れたい野菜の一つです。
ロマネスコの下ごしらえ
葉が付いた状態で売られていたら、迷わずに葉が付いたロマネスコを購入しましょう。
葉で覆われた太い茎にも栄養価があり、中の柔らかい部分は食べることができます。
ここでは、ロマネスコを余すことなく食べる、簡単な下ごしらえをご紹介します。
葉っぱを切り落とす
葉付きのものは、大まかな葉を切り落とします。
ペティナイフなどの小さなナイフを使うと、房(花蕾)を傷つけづらく、葉の隙間にも入り込みやすいのでおすすめです。
茎を切る
葉を切り落とすと、太い茎が現れます。この太い茎は、房の部分から切り離します。
小房を切り分ける
茎を切り離したら、大きな房を食べやすいサイズに細かくしていきます。
そこで、ロマネスコの魅力であるきれいな円すい形を崩さない、おすすめの方法がありますのでご紹介します。
芯をくり抜く
ペティナイフを芯の外側から中心に向かって斜めに入れ、くるりと1周し、円すい型に芯をくり抜きます。
こんな感じです↓
ポキポキ折る
中心をくり抜いたら、下の方(くり抜いた方)から小房をポキポキと手前に折ります。
大きい部分は、指で折るのが簡単です。
大きさは後で調整できますので、気にせずに折っていきます。折りづらかったら、無理せずにペティナイフを使いましょう!
ペティナイフで折る
指で折りづらかったり、房が詰まってきたら、ペティナイフを使って小房に分けます。
ポイントは、「切る」より「折る」です!
ある程度まで切り込みを入れたら、ペティナイフを外側(利き手側)に倒します。
「ポキッ」という音がして、ポロっと房が取れやすくなります。
こうすることで、他の房を傷つけることなく、綺麗な小房に仕上がっていきます。
指で折るのも、ナイフで折るのもこの「ポキッ」という音が心地よく、繰り返すうちにこの作業が楽しくなります(と思います、笑)!
上の方はペティナイフで切る
上部は小さい房が密集しているので、指で折るのは困難です。
そこで、ペティナイフを使い、小房の大きさに合わせるように切っていきます。
ここでは、円すい形にこだわらず、大きさを合わせることを意識して自由に切っていきましょう。
この時、茎側から刃を入れると、花蕾の部分がポロポロと落ちづらく、綺麗に切ることができます。
最後に、小房に分けたロマネスコをボウルに入れて、水で軽く洗い流し、ざるにあげて水を切ります。
茎も食べよう!
ロマネスコは茎も栄養価が高く、味に癖がありません。
甘いキャベツの芯のようで、コリコリとしています。
切り離した茎(写真左上)から、回りの硬い部分を切り取って、柔らかい部分(写真右上)を食べましょう!
薄くスライスすると火が通りやすくなります。
千切りにしてコールスローにしたり、短冊切りにして野菜炒めに入れたり、茎だけでも料理に使えます。
小房に分けた後に、残った茎の部分も同様です。余すことなく、ロマネスコを楽しみましょう!
ロマネスコの基本の調理と簡単レシピ
新鮮なものは生でも食べられるロマネスコですが、加熱をすることで甘みが増し、さらに美味しく食べやすくなります。
しかも、先述した通りロマネスコに含まれるビタミンCは、加熱による損失が少ないのが特徴です。
とはいえ、長時間茹でるのは、食味も食感も失ってしまいます。
では、どのように、どのくらい加熱をするのが良いのでしょうか?
おすすめはフライパンで蒸す!
ロマネスコの食感を活かしつつ、栄養の損失も抑えるなら、フライパンで蒸すのがおすすめです!
「蒸す」という調理はビタミンCの流出が少ない上、フライパンを使うことで、少量の水と短い時間で仕上げることができます。
やり方はとても簡単。
- 小房にしたロマネスコをフライパンに並べる(写真①)
- 大さじ3杯強の水を回しかけ、強火で熱する
- 水がふつふつとしてきたら(写真②)、蓋をして蒸す(写真③)
- 出来上がりはとてもきれいなエメラルドグリーンに色づきます(写真④)
- ざるに上げ、重ならないように並べて冷ます(冷水に浸すと水っぽくなるので浸さない)
ロマネスコの蒸し時間は2分30秒がポイント!
今回、1分から3分の30秒間隔(1分、1分30秒、2分、、、)計5回、上記の「フライパン蒸し」で検証しました。
蒸し時間 | 味 | 食感 | その他 |
---|---|---|---|
1分 | ほぼ生 | コリコリ | 上下で蒸しムラが出来る |
1分30秒 | 1分と大差無し | コリコリ | |
2分 | 甘みが増す! | コリコリにサクサクが加わる。 | |
2分30秒 | 甘みに加え旨みを感じる | コリコリ&サクサクにほっくりが加わる。 | 水がなくなり、焦げが生じた |
3分 | 甘み、旨みキープ | コリコリ&サクサクが和らぎ、ホクホクになる | 水の量を大さじ3→大さじ4に変更 |
※フライパンの大きさ直径26cm、ロマネスコの量は100gで検証。
2分間蒸し焼きにしたロマネスコは、甘みが出てきます。
2分30秒では、より甘みを感じ、旨みも加わりました。
食感は、花蕾のザラザラとした舌触りが無くなり、茎のコリコリと花蕾のサクサクがベストマッチ!
3分間蒸すと、食感にホクホクがプラスされました!
ということで、フライパンで蒸すのは2分30秒がポイント!
2分30秒を基準に、よりホクホク感がお好みの場合は3分、コリコリ感がお好みの場合は2分、と食感で加減するのも「通(つう)」な感じがして良いですね!
料理によっても変えてみてください。
そのまま食べる、サラダや和え物に使うには2分30秒、下茹で後にスープに入れたり、ソースと絡めたりなどの加熱調理に加える場合は2分、潰したり、ミキサーにかけたりして、ロマネスコそのもののスープやソースを作るのには3分がおすすめです。
それ以外は下茹で無しで直接調理しても良いでしょう。
蒸しや茹で以外にも、焼き物、炒め物、揚げ物など、どんな料理にも使えます。
電子レンジで加熱
電子レンジでも同じように比べてみました。
500Wの電子レンジで、加熱時間は1分・2分・3分の3回です。
結果は、フライパン蒸しとほぼ同様で、2分で甘みが出はじめ、3分でホクホクがプラスされました。
電子レンジで蒸す最大のメリットは、火を使わないので「その場から離れることができる」事です!
そのまま食卓に並べて、マヨネーズなどを付けて食べてるのも手軽で良いですね。
ご使用の調理器具や、食材の量・大きさにより異なりますが、参考にしていただけたら幸いです。
ロマネスコの魅力を活かした簡単レシピ
彩り豊かなマリネ
はちみつの甘味とワインビネガーの酸味が絶妙なバランスのマリネです。
クコの実をプラスすることで、より華やかな一皿に変身します。
食感も楽しめるコールスロー
食感がおもしろい?!
ひと味違うコールスローをどうぞ。
火を使わない蒸しパンケーキ
火を使わずに、電子レンジでできちゃうスイーツです♪
ロマネスコの甘みを活かした簡単でヘルシーなおやつ。
おつまみにもおかずにも!アーリオオーリオ
じっくりと熱したガーリックの香りが食欲をそそります!
おつまみにもおかずにもなる簡単&便利な一品です。
レシピの加熱時間は、500Wの電子レンジで調理した時間です。使用する調理器具や、食材の量・大きさにより異なりますので調整してください。
まとめ
カリフラワーの仲間「ロマネスコ」。
個性的な外観と、協調性のある食味を持ち合わせた、魅力的な野菜「ロマネスコ」。
コツさえ掴めば扱いやすく、いろいろな料理で活躍してくれます。
最近では、スーパーや地域の直売所などでも、見かける事が増えてきたのではないでしょうか。
今が旬のロマネスコを、楽しく美味しく食べてもらえたらうれしいです。
普段の料理に添えるだけでも、食卓を華やかにしてくれます。