シャキシャキの食感とほのかな甘味があるアスパラガスは、料理の主役にも脇役にもなる魅力的な野菜の1つです。
スーパーなどに並んでいる元気なアスパラガスを見ると、つい手に取ってしまう人も多いのではないでしょうか。
凝った料理にしなくても、素材そのもので十分に美味しく食べられるアスパラガスですが、加えて体に良い成分がたくさん含まれている事はご存知ですか?
今回は、アスパラガスに含まれる豊富な栄養素と、栄養を逃がさない美味しい食べ方をご紹介します!
目次
アスパラガスはこんな野菜
アスパラガスは、南ヨーロッパ原産のキジカクシ科(クサスギカズラ科)の植物で、私たちが普段食べている部分は、アスパラガスの茎と、はかまと言われる葉の部分になります。
輸入品も含め、1年中販売されているアスパラガスですが、日本では春から初夏にかけて旬を迎えます。
春先になると、国産の立派なアスパラガスを目にすることが増えますよね!
スーパーなどでは鮮やかな緑色のアスパラガスを見ることが多いと思いますが、アスパラガスには緑色の他、白や紫色をしたものもあるんです。
グリーンとホワイトは同じ品種!
グリーン(緑)とホワイト(白)は同じ品種で、日光を浴びて育ったのがグリーンアスパラガス、日光を遮断した環境で育ったのがホワイトアスパラガスです。
土や遮光シートをかぶせるなどをして、暗闇の中で日に当たらずに作られるホワイトアスパラガスは、柔らかな触感で青臭みが無く、ほんのりとした甘さを感じるのが特徴です。
生の状態で出回る時期は短く、グリーンアスパラガスと比較すると高価なものになりますが、その分、より旬を感じることができるのではないでしょうか。
いっぽうで、日に当たらずに育つホワイトアスパラガスの栄養価は、グリーンアスパラガスより低くなります。
紫色はアントシアニン
紫アスパラガスは、グリーンやホワイトとは品種が異なりますが、栽培方法はグリーンアスパラガスと同じです。
紫アスパラガスはグリーンよりも甘みがあり、水分も豊富で柔らかく、特徴である綺麗な紫色の皮は、ポリフェノールの一種アントシアニンです。
ポリフェノールには様々な抗酸化作用があると言われていますが、中でもアントシアニンは、視力の改善や眼精疲労の予防・回復などの効果が期待されています。
栄養価の高さで言えば、紫アスパラガスが一番です!
アスパラガスの栄養と効能
アスパラガスはビタミンやミネラルなどの栄養素はもちろん、他の野菜にはあまり含まれていない栄養成分も多く含んでいるので、色んな人に食べて欲しい野菜の1つです。
それでは、アスパラガスに含まれる代表的な栄養成分と、その働きや効能について見ていきましょう。
アスパラギン酸
アスパラガスの栄養成分の代表とも言えるアスパラギン酸は、その名の通り、アスパラガスから発見されたアミノ酸の一種です。
アスパラギン酸には次のような働きがあります。
- 乳酸を分解してエネルギーに変える働き
- エネルギー代謝を活発にする働き
- グリコーゲンの生成を促す働き
- 毒性のあるアンモニアを体外へ排出する働き
- カリウム・マグネシウムなどのミネラルを細胞内に運ぶ働き
グリコーゲンは、エネルギーを一時的に貯蔵するために作られる糖類で、運動時や食事がとれない時などにエネルギーとして変換されます。
アスパラギン酸はエネルギー源として利用されやすく、サプリメントや栄養ドリンクにも配合されている成分です。
- 疲労回復やスタミナの向上
- むくみ改善・ダイエットサポート
- 新陳代謝の向上
- 冷え性や肩こりなどの改善
- 美肌
ルチン
ルチンはポリフェノールの一種です。
ルチンには次のような働きがあります。
- 毛細血管を安定・強化する働き
- 血管の弾力性を修復し、血液の流れをスムーズにする働き
- 血圧を下げる働き
- 膵臓(すいぞう)機能を活性化させる働き
- ビタミンCの吸収を促進する働き
- 抗酸化作用
ルチンは蕎麦に含まれる成分として有名ですが、アスパラガスにも含まれているんですよ。
- 出血性の疾患の予防
- 生活習慣病の予防・老化防止
- 冷え性や肩こりなどの改善
- 免疫力の向上
- 美肌
グルタチオン
グルタチオンは抗酸化物質の1つで、アミノ酸が連なってできる化合物の一種です。
グルタチオンには次のような働きがあります。
- 日焼けなどでできる黒色色素メラニンを抑える働き
- 体内で解毒酵素が作られる力を活性化する働き
- 抗酸化作用
グルタチオンは、肝機能の改善や美白、アンチエイジングのための医薬品の原料としての需要が高い成分です。
- 美白・美肌
- 肝機能の改善
- 生活習慣病予防・老化防止
ビタミン・ミネラル
アスパラガスには種類豊富なビタミン・ミネラルが含まれています。
- ビタミンA…粘膜の材料になりウイルスの侵入を防ぐ働き。皮膚や髪の毛・爪などの細胞を活性化させる働き。
- ビタミンE…活性酸素から細胞膜を守る働き。血行を良くする働き。
- ビタミンK…出血したときに血を固める働き。カルシウムの吸収を助ける働き。
- ビタミンB1・B2・B6…代謝を促しエネルギーに変える働き
- 葉酸…ビタミンB12と共に赤血球を生産する手助けや、DNAを作る手助けをする働き
- ビタミンC…コラーゲンの合成を助ける働き。免疫力を高める働き。
- カリウム…体内の余分な水分を排出する働き
ビタミンA・C・Eは、抗酸化ビタミンとも言われ、活性酸素の働きを抑える作用を持つビタミンです。
その他、カルシウムやマグネシウム、鉄分などのミネラルの他、食物繊維やオリゴ糖なども含んでいます。
- 免疫力の向上
- 美肌・美髪
- 貧血予防
- 疲労回復・ダイエットサポート
- むくみ改善
- 高血圧改善
- 生活習慣病予防・老化防止
- 腸内環境の改善
抗酸化作用の相乗効果
アスパラガスの色々な栄養素に含まれる抗酸化作用は、それぞれに役割を持ち、相乗することでより高い効果を発揮すると言われています。
- ルチン
- グルタチオン
- ビタミンA
- ビタミンC
- ビタミンE
- がん予防
- 生活習慣病予防
- 認知症予防
- 老化防止
- 美肌
など
美味しいアスパラガスの選び方と保存方法
栄養豊富なアスパラガスですので、せっかく食べるのなら、新鮮で美味しいものを選びたいですよね。
選ぶ際には以下のポイントを抑えて、美味しいアスパラガスを選んでください♪
- 茎がまっすぐに伸びている
- 穂先がしっかりとしまっている
- はかまが茎に張り付いている
- 全体的に張りがある
- 切り口が変色したり、乾燥して割れたりしていない
アスパラガスの保存方法
ネット通販などで纏まった数を購入した時や、すぐに食べられない時でも美味しさをキープしたいですよね!
保存のポイントは、切り口を乾燥させないことと、寝かさないことです。
- 切り口を濡れたペーパータオルや新聞紙などで包みビニール袋に入れる
- 冷蔵庫に立てて保存する
アスパラガスの保存適温は約2.5℃と野菜室より低めなので、コップやカットしたペットボトルに立てて、冷蔵庫のドアポケットに保存すると倒れづらくなりおすすめです。
アスパラガスの栄養を逃がさない食べ方
新鮮なアスパラガスを手に入れたら、豊富な栄養を逃さない方法で調理したいですよね。
アスパラガスの栄養素には、熱に弱いものや水に溶け出てしまうものも含まれています。
それらを考慮した栄養を逃さない食べ方のポイントは以下の2つです。
- 加熱は短時間
- 茹でない!蒸す・炒める・揚げる!
- アスパラギン酸やビタミンCなどの熱に弱い栄養素の損失を防ぐため、短時間の加熱で調理しましょう!
- ビタミンCやビタミンB群などの水溶性ビタミンは、茹でると水に溶け出てしまいますので、蒸す・炒める・揚げるといった調理は、水溶性ビタミンの流出を防げます。
短時間で炒める・揚げるが効果的
アスパラガスには脂溶性のビタミンA・E・Kなど、油と一緒に摂取することで吸収率がアップする栄養素も含まれています。
これらの栄養素の吸収率を上げつつ栄養を逃さない食べ方としては、短時間で炒める・揚げるといった調理方法が最も効果的と考えられます。
旬の時期など、生でも食べられるほどの柔らかくて新鮮なアスパラガスは、加熱をせずに、オリーブオイルやごま油、ドレッシング などをかけて食べるのも良いですね♪
蒸すなら電子レンジが簡単
サラダに和える時や、脂質制限などで油をあまり摂りたくない時などは、蒸して食べましょう。
茹でずに蒸すことで、水溶性の栄養素が水に流出してしまうことを防げます。
蒸して食べる場合は、電子レンジで加熱する方法が簡単でおすすめです。
蒸し方
アスパラガスを、写真のように少し間を空けてラップでふんわりと包み、500Wの電子レンジで1分半から2分程加熱します。
加熱のし過ぎは、栄養素だけではなく食感も失うので、様子を見ながら加熱してください。
加熱後はザルに上げて冷まします。
レンチンしたアスパラガスに、マヨネーズやお塩を添えるだけで、おかずやおつまみの一品になりますね^^
加熱前の下ごしらえ
加熱をする前に、根元の硬い部分を折るか、皮を剥いてから調理しましょう。
根元の硬い部分とは一体どの辺なんだろう?どこまで皮を剥けば良いのだろう?と思ったことはありませんか?
実は簡単にわかるんです^^
まず、片方の手でアスパラガスの根元を持ち、もう片方の手でしならせます。
そうすると、ポキっと折れる所がありますので、そこで折ります!
ここが皮を剥くor剥かないの分かれ道です!
折った所から穂先側は皮が柔らかいので、殆どの場合は剥かずに食べられます。
折った根元の方は、ベジブロスに使用したり、皮を剥いて他の料理に使ったり、無駄にすること無く利用可能です。
アスパラガスの長さを活かした料理をする場合は、折らずに根元の切り口を1cm程切り落としてから、硬い部分の皮をピーラーなどで剥いてください。
大体4〜5cmくらいの所が目安となります。
- 皮の硬さや筋っぽさは、アスパラガスの状態や時期により異なります。食べづらい場合は皮を剥いてください。
- 細い品種を除いて、直径が1cmに満たない細いアスパラガスは全体的に筋っぽいことが多いので、穂先を残した全体の皮を剥くことをおすすめします。
- ホワイトアスパラガスは異なります。
アスパラガスの栄養を逃さない簡単レシピ
アスパラガスは炒めるだけやレンジで加熱するだけでも十分に美味しく食べられますが、今回は少し手を加えた更に美味しくなる簡単レシピを2つご紹介します。
栄養パワーアップのレシピ
1つ目のレシピは、近年健康食材としても注目されている鶏むね肉とのコラボレシピです。
鶏むね肉には、抗酸化作用や疲労回復などの効果が期待できる成分イミダペプチドが含まれています。
アスパラガス×鶏むね肉の組み合わせは、聞くだけで元気になりそうですね!
食感と素材の美味しさパワーアップのレシピ
2つ目のレシピは蒸し料理ですが、あっという間に出来て、アスパラガスのコリッという食感と素材のうま味をしっかりと味わえるレシピです。
まとめ
アスパラガスはビタミン・ミネラルなどの栄養素はもちろん、アスパラギン酸やグルタチオンなど他の野菜にはあまり含まれていない栄養成分も豊富に含まれており、健康や美容にも役立つ野菜の1つです。
その上、うま味もあり、様々な料理で美味しく食べることができる野菜でもあります。
栄養素を逃さないように、蒸したり炒めたりして食べるのはおすすめですが、茹でて煮汁を他の料理に使ったり、スープにしたりするなど、色々な料理でうま味や食感も存分に味わってください♪